6月6-10日にオーストリアのインスブルック、ステューバイでマウンテンランニング・トレイルランニング世界選手権(WMTRC)が開催され、日本からも12名の選手が日本代表として出場します(DogsorCaravanの選手紹介記事はこちら)。私は日本代表チームのサポートスタッフの一人として現地に同行します。前身となるトレイル世界選手権は3度、それぞれの開催地で取材をしましたが、WMTRCとなった昨年の前回からは取材は封印してサポートをしています。
トレイル世界選手権の時から気づいていたのですが、どの参加国の選手もそのユニフォームはオリンピックや世界陸上の選手と同じなのに対して、日本代表の選手はユニフォームが異なります。WMTRCとなって代表選手が日本陸連によって選考され、派遣されるようになっても、ユニフォームはアシックスではなくザノースフェースなのです。些細なことかもしれませんが、なぜ日本だけ違うのかずっと不思議に思っていました。
今もその理由をはっきり突き止めたわけではありませんが、ユニフォームを提供するメーカーが他ブランドのアイテムと併用されるのを嫌う、ということのようです。例えば、アシックスがユニフォームを提供した場合も、トレイルランニングではレインジャケットのようなウェアが必要になり、それをアシックスでは提供できない。このため、そうしたアイテムも揃えられるブランドにユニフォームの提供を依頼する、ということのようです。
では日本以外ではどうしているのかといえば、ユニフォームはシャツとショーツ、タイツとトラックスーツのみであり、それ以外は選手各自の装備であって揃える必要はないと理解されています(今回のWMTRCでもそのように競技規則に書かれています)。シューズのブランドが選手によって異なるように、バックパックもレインジャケットもそれぞれ選手が選んだアイテムを使いつつも、ユニフォームは他の陸上競技と共通しています。
シャツもショーツも防水ジャケットも自社のブランドで揃えてほしいというメーカーの希望は理解できるし、選手を送る側もメーカーに忖度しようとするのも分かります。ただ、トレイルランニングの場合、天候やコンディションによってはさまざまなアイテムが必要になり、それらをすべて一つのブランドで揃えることができるとは限りません。
加えて、他国がオリンピックや世界陸上でおなじみのユニフォームでWMTRCに参加する中で日本だけユニフォームが異なるのは、日本ではトレイルランニングは他の陸上競技とは同等とみなされていない、と受け止められないでしょうか。
日本のトレイルランニングに関わる方に広く、WMTRCのことを知ってもらい、選手が活躍する姿を見てもらえれば、この何かボタンを掛け違えたような状況が変わるのではないか。そう考えるのは私だけで、誰もそんなことは気にしないのかもしれません。