ITRA(国際トレイルランニング協会、International Trail Running Association)の国別代表の選挙の結果が5月11日に発表され、私は日本の個人会員代表に選ばれました。私は2015年にこの国別代表の仕組みができた時に立候補して当選して以来、今回で4期目ということになります。今回は他に立候補される方がいなかったことから、選挙前に取り立てて選挙活動は行いませんでした。にもかかわらず82票を頂戴したことに感謝いたします。
ITRAの国別代表はそれぞれの国でトレイルランニングの健全で持続的な発展に貢献することを役割としており、自国のランナーや大会主催者の声をITRAに伝えるとともに、ITRAの活動や事業を自国で伝えることを役割としています。国別代表には個人会員代表(National Runners’ Representative)と主催者会員代表(National Organizers’ Representative)があり、それぞれが自国の会員の選挙で選ばれ任期は4年です。
近年のITRAの活動の中で一番目立った成果としては、ワールドアスレティック(WA)の下でウルトラマラソンのIAU、マウンテンランニングのWMRAとともに新たな世界選手権(WMTRC)を立ち上げたことでした。ただ、ここ数年のITRAは組織として大きな変革を経験しています。それは創設以来UTMBに依存してきた運営のあり方を見直し、国際競技団体として自立した存在となることが大きな目的でした。2020年に始まったこの動きは、主催者あるいは個人の会員の皆さんにとってはこれまで通りITRAポイントが認められ、パフォーマンスインデックスが計算されているので、何も変わらないように見えるかもしれません。ただ、その背後ではシステムを一から開発し直すなど、大きな苦労がありました。
2023年からはこうした組織運営の変革を乗り越えて、ITRAがトレイルランニングの発展のためにどんな役割を果たすか、改めて注目されることになるでしょう。
この国別代表という仕組みは国際的な競技団体の組織としては他に例のない仕組みで、世界各地で実際にトレイルランニングを楽しむランナーや大会を運営している主催者とできるだけ緊密に結びついた組織でありたいという考え方が現れています。
ちなみに今回の選挙で日本の主催者会員の代表にはウルトラトレイルマウントフジの共同代表である千葉達雄さんが当選されました。日本を代表する国際的な大会で常に新たな挑戦を続けている千葉さんとITRAでご一緒するのが楽しみです。今回の選挙までは竹籔博規さんがこのポジションを務めてこられました。日本の主催者の皆さんにITRAの仕組み、とりわけITRAポイントの審査申請について情報を広める功績を残されました。ありがとうございました。