UTMBワールドシリーズはカナダ・ブリティッシュコロンビア州ウィスラーで開催される「Ultra Trail Whistler by UTMB」が来年のシリーズに加わることを10月26日に発表しました。カナダでは初の「by UTMB」となり、これで来年のUTMBワールドシリーズには40の大会が並ぶことになります。
この大会はこれまでに開催実績のない新設の大会とのことで、9月下旬の開催です。ウィスラーにはすでに大会があったような気がすると思っていたところ、やはり背後では既存の大会が開催できないかもしれない事態となっているようです。
ウルトラランナーであり、カナダでトレイルランニングの大会を開催しているゲイリー・ロビンス Gary Robbins がその当事者であったようで、ブログへの投稿でその経緯を綴っています。それによれば、同じエリアで開催してきた「ウィスラー・アルパイン・メドウズ」(WAM)というイベントが昨年の開催後、大会のコースとなるスキーリゾート運営会社から、次回開催について積極的でない態度を示されるようになった。一方今年に入ってから、UTMBとIRONMANからは大会の売却を持ちかけられ、これを断った。今年の大会の告知や準備が進められないまま時間が過ぎ、今週になって運営会社から大会開催を認めないという連絡があり、新たなby UTMBの大会が発表された。そんな経緯だったようです。
事実関係については、ゲイリーからの話だけではわからないところもありますが、UTMB側から打診を受けたリゾート運営会社がUTMBワールドシリーズの大会を開催したいと考え、そのためにゲイリーのチームと手を切ったということかも知れません。
トレイルランニングの大会が地元の重要なステイクホルダーの離反により終了し、入れ替わるように新しい大会がスタートする。元の大会の主催者や参加者からすると乗っ取られたように感じる出来事がときおり起こります。大会の主催者にとってはステイクホルダーとの関係のマネジメントはますます重要になりそうです。
追記 Trailrunner誌はUTMB側にも取材したブライアン・メツラーによる記事を掲載しています。両側の見解を知ることの大事さを感じます。なおTrailrunnerを運営するOutside社はUTMBワールドシリーズのライブ配信を自社の動画配信プラットフォームで配信するなど提携関係にあります。