ナイキがトレイルランニング界に逆襲、アスリートチーム再編に続いてアパレル、シューズに新展開
日本市場での展開にも期待したいところです。
UTMBが開催される週のシャモニーは、業界関係者が集まり、各ブランドの新しい取り組みが発表される場となっています。
iRunFarやロイターの記事によれば、ナイキはこの機会にトレイルランニングに対する新たな取り組みを発表したようです。
(写真は原稿のナイキのトレイルランニングシューズ、ウルトラフライ)
アスリートチームを再編、「ACG」のブランドをアウトドアの競技寄りに再定義
ナイキは契約アスリートで構成される「ナイキ・トレイル・チーム Nike Trail Team」を再編し、22名からなる「オール・コンディションズ・レーシング・デパートメント All Conditions Racing Department」へ移行するといいます。これはナイキのトレイルランニング製品を同社のサブブランドである「ACG」(All Conditions Gear)に統合することにあわせた変更となります。近年はファッション的なアイテムのブランドという印象が強くなっていたこのサブブランドを、再び競技パフォーマンスにコミットするブランドとして位置付けることになります。
おりしも、今年6月にはチームのアスリートであるケイレブ・オルソン Caleb Olson がウェスタン・ステイツで勝利を収め、その際に身につけていた大胆なデザインのシャツが注目を集めており、その計画は着々と進んでいるようです。
アパレル製品に新展開
ウェスタンステイツで注目を浴びていたプロトタイプは、2026年春ローンチ予定の「ラディカル・エアフロー Radical AirFlow」アパレルとして登場します。吸湿親和性を持つエンジニアード・ニットに加え、前面から肌へ空気を導くファンネル型エアダクトと、肌面ディンプルによる気流滞留の最適化で蒸発冷却を促進する、というのがそのコンセプトです。長袖ベースでカバー率と通気を両立しつつ、腋下と肘のラージカットアウトで可動性と軽量性を確保、摩擦多発部のトリム設計にも配慮が見られます。見た目のインパクトに反して、競技運用を想定した快適性と実用性のバランス設計が特徴とされています。
トレイルレーシングモデルである、ウルトラフライの刷新
同じく2026年春には「ナイキ・ACG・ウルトラフライ Nike ACG Ultrafly」の第2世代が登場します。プレート剛性の最適化とねじれ追従性の改善、より速い排水と通気のアッパー、前足部とヒールの拡幅、ZoomXインソール化、そして約65の抜き孔を備えたVibram Megagrip Litebaseアウトソールの新設計などが示されています。フルZoomXミッドソールは継承しつつ、ラギッドなテレインでのしなりと足当たりを見直した「トレイル・スーパーシュー」の第二弾となります。
一方、ナイキのもう一つのトレイルランニングシューズであるゼガマ Zegama ラインもACGとして2026年以降のアップデートが示唆されているようです。レース指向のウルトラフライと、より汎用度の高いゼガマの住み分けがこれからはっきりしてくるようです。
ナイキのビジネス環境と課題におけるトレイルランニング
ロイターの報道によれば、ナイキはUTMBのタイミングで新しいウルトラフライを打ち出し、コロナ禍以降に拡大したアウトドア・レクリエーション市場と中国市場での巻き返しを図ります。中国ではアウトドアの裾野が広がる一方、足元の売上は複数四半期で二桁減が続くなど逆風があり、現地競争や消費マインドの弱さが重しです。サロモン Salomon やホカ HOKA がトレイルで勢いを持つなか、ナイキの強みであるトップレベルのアスリートと共同で進める開発体制と、グローバルな供給・訴求力をどう再活性化するかは、同社の中核課題と言えるようです。
パフォーマンスとプロダクトの間でどんな話題が今後出てくるか注目
6月にケイレブ・オルソンが斬新なシューズやアパレルを身につけて優勝したことはナイキの目指す方向性と、スポーツにおけるパフォーマンスが見事に重なり、ナイキからこれからワクワクする何かが登場することを予感させるには十分でした。
日本市場ではナイキのトレイルランニング市場への取り組みはまだ控えめに見えますが、これから来年にかけて新しい動きがあるかもしれません。


