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先週のこととなりますが「デイリー新潮」に『「アジア選手権で優勝」も代表選手の渡航費は“自腹”…人気急上昇でも「トレイルランニング」協会トップが頭を抱える意外な理由』という記事が掲載されました。日本トレイルランニング協会(トレランJAPAN)会長の福田六花さんが取材に応じた記事で、日本国内のトレイルランニングの人気が高まり、選手の成績も上がる一方で、トレイルランニングのコミュニティの外では全く認知されておらず高い壁がある、という話が紹介されています。
昨年2024年秋のアジアパシフィック選手権(APTRC)では日本代表チームのメダル獲得ラッシュとなりました。しかし、記事でも触れられている通り、国内のメディアが話題にすることは少なく、選手の渡航費用も基本的に「自腹」となりました。こうした状況に対する強い危機感が、今回の取材につながったようです。私もここ数年、世界選手権などへ日本代表チームが参加する際には、福田六花さんの求めに応じてお手伝いしており、危機感については全く同感です。
記事の中ではこの状況の打開策として、箱根駅伝のようにトレイルランニングの大会をテレビで生中継する、というアイディアが紹介されています。無論、これは分かりやすさと記事をキャッチーなものにするために単純に切り取られたアイディアだと思います。そこに至るまでには地道な地域に根ざしたトレイルランニングのコミュニティ作りや、このスポーツを知ってもらうためのイベントの開催といったステップが必要でしょう。私の立場からは、質の高い情報発信を継続することで、オールドメディアにも新しいメディアにもも、インフルエンサーにもトレイルランニングを取り上げる機会を増やしてもらうことが大事だと感じます。
ただ、本質的にはトレイルランニングというスポーツを次の世代に繋げたいと考えるか否かが取り組みの姿勢を分けるようにも思います。というのも、現在の中高年男性が多数派を占める数千人規模のトレイルランニングのコミュニティの中でも、必ずしもコンセンサスは得られていないと感じるからです。私自身もそうした多数派の一人ですが、トレイルランニングはマイナーなままの方が面白いし楽しめる、という考えも一理あると感じます。
2013年の春に富士山麓で日本のトレイルランニング大会の主催者が集まって行われたイベントのお手伝いをしたことから、私もトレイルランニングをもっとメジャーなスポーツにしよう、という問題意識を持つようになりました。当時は急増するトレイルランニング愛好家が既存の登山者やハイカーとの間でコンフリクトを起こし、自然環境の保全にも悪影響を及ぼしている、という声が上がり、トレイルランニングの関係者の間で危機感が高まったことが背景にありました。
私も関係者の隅に席を置き始めた者として考えを述べることもありましたが、顧みられることはありませんでした。私の勉強不足やコミュニケーション能力の欠如がその理由でしょうが、メディアは興味本位で問題を大きくするトラブルメイカーだという先入観は当時も今も根強いと感じます。
これからも私がこの問題で大きな役割を果たすことはないでしょうが、意欲ある次の世代の人たちに求められることがあれば、力の限り貢献したいと考えています。